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Q.貸したお金が返ってこない場合の手続きは?

貸したお金が返ってこない、回収するための手段、方法、手続について解説します。

どのような選択肢があるのかを頭に入れて、比較したうえで判断するようにしましょう。

この記事は、

  • 貸したお金を返してもらえない
  • 貸金回収の法律相談に行く予定

という人に役立つ内容です。

(著者:弁護士石井琢磨、記事更新:2022.3.1)

 

貸したお金を返してもらえないという法律相談は多い

今回は、貸したお金を返してもらえないという法律相談を弁護士にしたら、どのような説明をされるのか解説しておきます。

貸金回収の相談は、市役所の無料相談、有料の法律相談を含めても多くされています。

その中で、貸金回収の手続き的な説明、どのような段取りでやるのが良いのかという説明を求められることが多いので、解説をしておきます。

このような手続き的な知識をあらかじめ押さえておいたうえで、自分の場合には、どのような方法が適切か、という当てはめを法律相談の場で質問すれば、法律相談もより有益なものになるでしょう。

動画での解説はこちら。

貸金回収に交渉か、法的手続きか

貸したお金を返してもらえない場合の手続きとしては、大きく分けると、交渉と、法的な手続きがあります。

交渉の中では、その方法として、

電話やLINE、メール、メッセンジャー、などの通信方法を利用する方法、手紙、面談などがあります。

その手段を前提に、それを続ける、相手にぶつける内容を変化させる、頻度を上げるなどがあります。

 

郵便による手紙、書面を使うことは減っているため、請求書を相手方の住所に送るという方法は、インパクトが上がります。

 

書面で請求して貸金を回収

書面を送る際に、普通郵便で送るのが一番安いです。

形に残る方法、受け取りが確認できるような書留、配達証明から、さらに内容証明郵便という証拠に残る方法もあります。

内容証明郵便は、一般的にはクーリングオフのように証拠に残すことが必要な場面で使うことが多いですが、そのインパクトに期待して、使うこともあります。

 

書面以外に、あまり会って話ができていない場合には訪問するなどして面談をして、交渉するという選択肢もあり得えます。

このような各種交渉で、返してもらえない場合に、法的手続きに移るというのが、多くの人が使う流れです。

 

相手の性格によっては、交渉を無駄だと判断し、最初から、法的手続きをとる方が有効です。

 

貸金回収の法的手続き

法的手続きは、裁判所を使った手続きです。

この手続きの中で、もっとも穏便なのが、民事調停です。

調停といえば、離婚の調停で聞くこともあるでしょう。

裁判所が用意してくれている調停員が、紛争当事者の間に入って話し合いで解決を目指す制度です。

裁判所から呼び出し状が届くので、通常の交渉よりもインパクトがあります。

通常の交渉で、訪問や、第三者を入れての話し合いに応じない人でも、調停に応じてくることはあります。

 

もちろん、調停も話し合いなので、相手が拒絶した場合には成立しません

調停に呼び出されても、無視する人もいます。

また、調停は、法的に白黒をつける場所ではありません。

そのため、相手が法的に反論してくる場合には、使いにくいです。

金額に争いがあったり、貸したか贈与だったかなどの争いがある場合には、民事裁判などで判断してもらうしかないことも多いです。

 

貸したお金であることや、金額に争いがない場合で、相手が調停期日に出席してくるのであれば、裁判所の調停員が相手の主張を確認してくれたり、説得してくれる可能性もあります。

このような民事調停は、簡易裁判所が管轄となります。

 

支払督促や少額訴訟での貸金回収

その他に簡易裁判所では、支払督促や少額訴訟という方法もあります。

この中で一般的に使いやすいとされているのが支払督促

民事裁判よりは、手数料、印紙代が安い手続きです。
書面で裁判所の命令を出してもらう手続きで、貸金業者も使う制度です。

多くの貸金請求の事件では、貸金の内容に争いがない事件のため、この支払督促で、裁判所の判決と同じように差押えをできるようにしようと動きます。

支払督促は、書面手続で、異議が出されなければ書面手続きで終わるため、債権回収会社や消費者金融のように、たくさんの事件を抱えているところでは、大量に利用することがあります。

 

少額訴訟は、60万円までという制限や利用回数の制限はありますが、短期間で裁判を終わらせることができます。

こちらも相手が異議を出すと、通常の民事訴訟になります。

弁護士はあまり使わない印象です。

その分、本人訴訟、弁護士に頼まずに自分でやるという人も多い手続きなので、裁判所としても、それを前提に優しい運用がされていることも多いです。

 

貸したお金等、何らかの争いがあったり、相手方が法的な主張をしていて、証人尋問なども必要なケースでは、民事訴訟を選択することになるでしょう。

 

民事調停、支払督促、少額訴訟などを債権者が希望していても、相手には、通常の民事裁判を受ける権利があります。これらの手続きに同意しなければ、民事訴訟での解決を図ることになります。

 

貸金回収の際の仮差押え

民事訴訟のオプションとして位置づけられるのが、仮差押えと呼ばれる民事保全制度です。

相手方の財産が特定できているときに、民事裁判の判決を待っていると時間かかってしまいます。

その間に財産を処分されないように、差し押さえておくのが仮差押です。

たとえば、相手が不動産を持っているものの、裁判中に、その不動産を売られたり担保設定されたりすると、勝訴判決が出ても差し押さえられなくなってしまいます。

そのようなときに、仮差押を使うと、不動産を動かせなくすることができます。

差し押さえは、本来、裁判所の判決などがなければできません。判決前に相手の財産を動かせなくするので、債権者側も担保を提供します。本来の裁判で負けてしまうような場合には、請求が理由がなかったことになるので、この担保で債務者に生じた損害を賠償することになります。

財産内容にもよりますが、担保金として2~3割程度が必要です。

 

 

強制執行による差し押さえ

法的手続きの最後が、本来の差し押さえ、強制執行です。

民事調停、民事裁判など法的な手続きをとって、相手に支払義務が認められたのに、払われないという場合、財産の差し押さえができます。

強制執行と呼ばれたりします。

差し押さえの場合、相手の財産を特定して申立てをします。

給与差し押さえや預金差し押さえなど、何を差し押さえるのか特定して申立てをします。

 

複数の預金口座を差し押さえ

預金口座の差し押さえなどは、複数の口座を同時に申し立てることができます。

この場合、判決等で認められた請求金額を分けます。

たとえば、100万円の貸金請求が認められた場合、50万円をA銀行、30万円をB銀行、20万円をC銀行のように、分割して申し立てることができます。

この場合、A銀行に100万円の預金残高があっても50万円のみ差し押さえられることになります。

預金差し押さえの管轄裁判所は、債務者住所ですので、複数の金融機関の差し押さえでも、通常は同じ裁判所になります。1通の債務名義を使って差し押さえることができるのが通常です。

 

公正証書による差し押さえ

法的手続きまでせずに、交渉での解決時に、公正証書を作った方がいいですかと相談を受けることがあります。

民事裁判などで、裁判所の書類が作成される場合には、公正証書は不要です。

公正証書の最大のメリットは、法的手続きをとらなくても、差し押さえができるという点にあります。

金銭請求に限られますが、強制執行認諾条項を入れることで、約束通りの支払いがされなかった場合には、差し押さえをすることができるのです。

養育費のように、長期間の支払を担保するときに作成のメリットが出てくる書類です。

各地に公証役場があるので、そこで作ってもらいます。

 

不動産競売と債権回収

預金や給与などの債権の差し押さえ以外に、金額が大きい場合には、相手の所有不動産を競売にかける方法もあります。

ただ、競売申立は、予納金が高額になりがちなので注意が必要です。

また、対象の不動産に住宅ローンなどの抵当権が設定されている場合、そちらが優先します。

不動産の価値が抵当権のローンを下回るような場合、オーバーローン状態の場合には、競売をしても回収できないため、取り消されてしまいます。無剰余取消と呼びます。その場合でも、一定の費用がかかってしまうので、不動産価値がどの程度か検討する必要があります。

通常、抵当権が設定されているローンの残高がどれくらいなのかも、個人情報なので教えてもらえないことになります。また、住宅ローン以外に、登記には出てこない滞納税金などの優先権が多額にある場合も、無剰余取消のリスクはあります。

そのため、100万円程度の予納金を支払って不動産競売の申立をしたものの、競売手続での評価などが終わった段階で、取り消されてしまい、予納金も60万円程度しか戻ってこなかったという事例も報告されています。

 

 

自分で回収か専門家に依頼か

このような各種の方法を、自分でやるのか専門家に頼むのか決めます。

書面で請求して交渉という場合も、自分で内容証明を作って送ってみるという人もいますし、弁護士に書面を作ってもらう、弁護士名義で出してもらうなどする人もいます。

民事裁判自体を頑張って自分でするという人もいます。

専門家に頼めば費用はかかるので、そのコストと、自分でやった場合の手間やリスクを比較して決めることになります。

 

貸金回収のための選択肢と、自分でやるのか専門家に依頼かという組み合わせで進めて行くことになるでしょう。

民事調停や支払督促であれば、原則として相手方の住所を管轄する簡易裁判所が管轄になります。

自分でやるのであれば、そこを調べて手続きを申し立てるという形になります。

裁判所の窓口やウェブサイトには、典型的な事件であれば書式があります。

貸金請求の場合の書式を入手し、作成すると良いでしょう。

管轄裁判所が遠方の場合には、自分の住所を管轄する裁判所でもできる民事訴訟を選択するなど、裁判所の場所も判断材料になるでしょう。

 

 

相手の性格から有効な手段を選択

交渉や法的手続きで、どの方法が有効かは、相手次第です。

相手の性格等の要素で反応は変わってきます。

例えば、相手が弁護士名義の請求だけで、びっくりして払ってくるという性格なら内容証明郵便を弁護士名義で送ってもらうのが有効な方法となります。

または、弁護士に法律相談しているからという話をするだけで回収確率が上がるとも見込まれます。

相手の属性によっては、自宅に裁判所などからの郵便が届くとまずいと考える人もいます。そのような場合には、法的手続きの予告が効果的となります。

 

逆に、相手が開き直るような性格で、裁判所からの呼び出しでも動じないような性格だったり、すでに裁判を起こされているようなケースだと、交渉を先にしても有効ではないです。いかに早く法的手続きで強制執行まで進めるかがポイントになってきます。

 

貸金回収のライバルを想定する

このような貸したお金の回収で、頭に入れておかなければいけないのは、相手方がなぜ返さないのかという理由です。

一般的に多い理由として、返せないから。回収しようとする側は、自分を中心に考えますが、相手からみたら、実は相他にもたくさん借金があるということが多いです。

つまり、限られたパイを奪い合うライバル関係

このようなライバル関係が、消費者金融やクレジット会社などプロの金融機関との間で成立してしまっていることも多いのです。

相手のお金は限られていて、それをどこに払うかと選択します。

相手が、選択の際に、あえてあなたを選ばなければいけない理由があるのかという話になってきます。

消費者金融や債権回収会社など結構厳しい督促があるプロよりも優先度を上げないといけないわけです。

プロは頻繁に連絡をとり、事前に何日には返します、と約束を取り付け、その日が過ぎたら直ちにどうなったのかと何度も連絡します。

そのようなプロと戦い、優先度が上がらないと回収は難しくなってしまいます。

相手方がどうしたら動いてくれるか、そのような視点も持っていた方が良いでしょう。

 

優先度の中では、裁判を起こされた、法的手続きを取られたところを優先して返すという人も多いです。

 

自己破産されたら貸したお金は返ってこない

貸金回収のシーンでは、最終的なリスクとして考えておかなければいけないのが、相手の破綻です。

自己破産個人再生など、法的な手続きをとれば、全額の回収は難しくなります。

相手方がそのような手続きを取れば、自分の方も全額回収はできなくなるということを前提に動く必要があります。

本来は貸すときに想定しておくべきリスクです。

しかし、すでに貸してしまい、債権回収の場面でも意識しておく必要はあります。

交渉や法的手続きによるスピード、分割払いのリスク、強気に攻めすぎた場合の相手の開き直りによる自己破産リスクなど、諸要素を考えて決断する必要があるでしょう。

 

借用書がない場合の貸金請求

貸したお金を返してもらいたいという法律相談では、借用書がないけど大丈夫かという質問がされます。

貸した証拠がない、LINEのやりとりしかない、メールの返信だけあります、などという話です。

 

そもそも、この貸したお金を回収するという局面で借用書が必要かと言われると、あった方がもちろんいいですが、ないからといってダメというわけではないという回答になります。

煮え切らない回答になりますが、これは相手次第だからです。

これは、貸金回収に限らず、どのような紛争でも同じです。

証拠は、裁判などの法的手続きの際に、必要になる「可能性がある」ものです。

交渉のような段階ではなくても良いです。

裁判でも、なくても大丈夫なことがあります。

必要になるのは、こちらが証明しなければならない内容で、相手が否定した場合です。

 

相手が争うなら証拠が必要

民事裁判などの手続きの中で、相手が貸したお金について否定する、借りていませんなどと否定したときに初めて証拠が必要になってくるのです。

相手方が争わないのであれば証拠はなくても大丈夫です。

貸したお金の回収という裁判では、主に証明しなければならない内容は2つ。

  • 返す約束(贈与ではない)
  • お金のやりとり

です。

借用書に受領の記載があれば、これらをまとめて証明できるので強い証拠になります。

ただ、これらの証明は、他の証拠でもできます。

たとえば、お金のやりとりについて、銀行口座に振り込んでいれば、その記録で証明できます。

返すという約束が、LINEでもされていれば、証明できます。

 

「LINE自体が証拠になりますか」という質問は、上記2点を証明できる内容のやりとりであるかどうかが大事なのです。

これは、LINE以外でも、メールでも、口頭のやりとりの録音でも、すべて同じ話です。

 

法的手続きの前に、交渉をしているような場合、借用書がないものの相手が返す義務は認めているという場合には、その内容を書面にして署名などをもらっておけば、借用書に代わる証拠となります。

これを狙って交渉を進めることもあるでしょう。

 

まれに、借主から、「借用書がないのだから返す義務はないですよね」という質問をされることがありますが、これは法的には通りません。

 

貸したお金が返ってこないと法律相談に行く場合、手続き的には、このような説明がされますので、押さえておき、有益な法律相談になるようにしましょう。

 

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